十分な頻度で繰返される短い発話音声から覚醒度の低下を検出

発話音声による覚醒度の評価可能性検証のために,抗ヒスタミン剤の服用により眠気を誘発した実験を実施しました。実験では, 4人の被験者が,第一世代の抗ヒスタミン剤を午前10時に服用しその後は水分の補給だけで午後5時まで,30分毎に簡単な暗算課題を3分間行いその作業音 声を収録しました。またその前後に朗読音声を集録し臨界フリッカー周波数,心拍数,血圧を計測し主観的な眠気と疲労惑をVAS(Visual Analog Scale)により記録しました。暗算で、はパソコンのディスプレイに表示される問題に対して音声で、回答し,朗読音声は「いろは歌」48文字を12文字 ずつに4分割して,これをランダムな順番で表示し読んで収録しました。下の3つの図は上から,4人の被験者の平均値としての,経時的な主観的な眠気の強さ の変化,作業発話(暗算の回答音声)から計算されるCEM_Callout値の変化,朗読音声から計算されるCEM_Reading値の変化を示していま す。 時間経過を示す横軸は,朗読音声の収録とその後の自覚的な眠気の申告の回数毎に一目盛り進む様に描かれています。10:00 のプロットは10:00に計測した値ですが,その右のプロットは10:05~10:10 に計測された値です。doc-32

服用から眠気を感じるまでの時間や,薬の効果が継続している時間には被験者間に個人 差は当然に有ったと考えられますが, 11時(服用後1時間)から14時頃までの間,一般的な服用上限の3錠の服用により,被験者は平均的に強い眠気を感じていたと考えられます。14時以降においてはグラフに変動が目立ちますが,服薬の効果が切れたのか?或いは 実験の単調さや疲労に依るものが重畳しているのか?については,判断はできません。 この実験結果からは,作業中の短い発話音声であっても十分な頻度で繰返される場合には,その音声から発話者の覚醒度の低下を検出ことができそうです。