疲労の蓄積により音声の「ゆらぎ」が小さくなる

doc-15私達は特に意識しなくとも、誰かの声を聞いて「眠そうだな。」とか「疲れているな。」と感じることができます。最新の音声信号処理技術によれば、健常状態の声と疲労状態(或いは眠い状態の声、等々)を識別することができそうです。

右 の図1と図2は、ある人が1時間大きな声で本を読んで声がしゃがれた場合の音声波形とパワースペクトラムの変化を観測した結果です。波形にはかなりの変化 が見られますが、パワースペクトラムのピーク周波数に変化はありません。波形やパワースペクトラムには大きな個人差が存在し、一般的な疲労尺度にはなりま せん。逆に声紋で個人が特定される理由はここにあります。

図3はカオス論的な信号処理手法を示しており。図4は運転シミュレータにおける業 務作業発話から「お」音を80ミリ秒切り出して生成したストレンジ・アトラクタの変化を示しています。運転開始20分後の音声から生成したストレンジ・ア トラクタに比較して5時間後の音声から生成したストレンジ・アトラクタでは”ゆらぎ”が小さくなっていることが視覚的に観察されます。なお数学的な”ゆら ぎ”の定量的評価は、第1リアプノフ指数を計算することにより行います。

実験的に、疲労の蓄積により音声の”ゆらぎ”が小さくなることが確認されており、この変化は個人差に比較して固体内差が大きく、普遍的な疲労評価尺度を与えることが期待されています。