CE(Cerebral Exponent)の定義により音声信号のゆらぎの定量化が可能に

CE (CEm/M: Cerebral Exponent micro/Macro )の定義により,数秒から十数秒継続時間で切出された音声信号のゆらぎの定量化が可能になりました。一般的な音声信号から最大リアプノフ指数を計算しても 無意味ですが, SiCECA(Shiomi’S C. E. Calculation Algorithm )でCEM値を計算する場合にも同様な問題があり,信号処理パラメータが適正に設定されなければ意味のあるCEM値を算出することは不可能です。 CEm値の計算では,最大リアフノフ指数の計算と同様に,先ず①埋込み次元,②埋込 み遅延時間,③近傍点集合条件,④発展時間の4つのパラメータを設定する必要があります。SiCECAでは,他にも幾つものパラメータを設定しなければな らないのですが,その他については一先ず経験的な値に仮決めをしています。CEmからCEMを算出する計算では, 有限な値に収束する単調減少曲線を決める必要があるのですが,そのバリエーションは無数にあるので,現状では y= (a/x) +b と最も単純な曲線を想定しています。2013年現在, CEm値の計算に要する上記4つのパラメータの適正化を目指して,臨界フリッカー周波数や心拍数等の生理データ,また自覚症調べ,眠気や疲労感の VAS(Visual Analog Scale)調査結果等をリファレンスとして,音声データの再処理を繰返しています。

一般的なCEM の性質はとても複雑で簡単には説明できませんが,埋込み次元(D)を4 ~ 6,埋込み遅延時間(τ)を0.3~0.6ms 程度にすれば,人間の覚醒度に相関すると考えられるCEM値が算出されます。このパラメータ設定において,毎週1 回, 1日3回( 10 時, 13 時, 18 時)ある人が50の文章を音読したデータ(音声資源コンソーシアム提供による AWA-LTRコーパス)を処理した結果,下の様な分布が観測されました。doc-10

上図は,朝・昼・晩の音声データを区別して,夫々のCEM値の平均と標準偏差により, 夫々のCEM値を正規化した分布を重ねたもので,下図は全ての音声データのCEM値の平 均と標準偏差による正規化したCEM値の朝・昼・晩の分布を重ねたものです。

下 図の場合には,昼・晩のデータの分布に比較して朝のデータの分布ではピークが右側に寄っていることが分かります。MSExcel で歪度(SKEW)を計算すると朝が-0. 38 で昼(-0.18 )と晩(-0.29 )に比較して,左側への裾の伸びが大きい事が分かります。CEM 値の最大値と最小値には殆ど差がないので,最頻値が相対的に大きくなっているのです。「午前中に比較して昼過ぎには覚醒度が低下している」状況がプロット に現れていると 言えると思います。