成果資料

電子航法研究所

発話音声分析技術

成果資料

※ ここにまとめた資料は、国立研究開発法人(旧:独立研究法人)電子航法研究所塩見格一氏(監視通信領域・上席研究員)により発表された発話音声分析に係る成果資料です。


1970 年代(或は更に古くからか?誰でもが可能と言う意味では 1990 年代中頃からか?)コンビュータに依る音声信号処理が可能になって以来,また今日においても,音声から発話者の疲労度を定量化する等の目的に対しては,基 本周波数やフオルマント周波数の変化,またその変化パターンを評価する技術,即ちソノグラフから特徴量 を抽出して評価目的とする心身状態と対応付ける手法が一般的だと筆者は思っていますが, 1998年以来独立行政法人(現:国立研究開発法人)電子航法研究所では,音声信号の有するカオス論的な特徴 から発話者の覚醒度やストレスを評価する技術開発を進めてきました。

1998 年,電子航法研究所は幸運にも時系列信号としての発話音声からターケンスの埋込み定理 により再構成される音声のストレンジ・アトラクタの最大リアプノフ指数が,発話者 の心身状態に対応して変化する様に見える場合が有ることを発見しました(実際にこ の現象を発見したのは,電子航法研究所から発話音声のカオス論的な性質の調査依頼を受けた(株) オージス総研の慶瀬尚三氏(現アイヴィス)です)。電子航法研究所は,国土交通省航空局からの要望に対応することを主な研究課題とする研究所で,発話音声 から発話者の心身状 態の評価を目的とする様な研究は従来の所掌からはかなり外れていたのですが,関係 者の理解も有り,また国土交通省総合政策局からの研究予算支援も有り,今日迄,電子航法研究所としては殆ど例外的な研究として続けて来ることが出来まし た。確かに,発話音声から発話者の何等かの脳機能状態が評価できれば,その応用範囲 は想像できない程に広範なものとなるでしょうし国土交通省の必要とする予防安全技術に限っても,人間の脳に一番近い処を守備範囲とした最上流の技術になる ことが期待されます。

本資料は, 1998 年以来,多くの共同研究者各位と様々に行って来た電子航法研究所発話音声分 析技術に係る研究開発の成果をトピック毎に 1ページに,難解な表現は排して,できるだけ分かり易くまとめたものです。本資料は,用語の詳細な定義等は示していませんから,必ずしも厳密な議論には耐 え得るものではないかも知れません。しかし筆者は,本資料により,本技術の応用を検討されようとする方々が,この技術が信じら れない程に複雑なものではあっても,多種多様な(筆者の想像の及ばまない視点を含め) 適用手法が設定可能な技術であることをご理解いただけると期待しています。


 発話音声を分析し発話者の心身状態を評価
電子航法研究所の発話音声分析技術は、音声信号のカオス性評価
リアプノフ指数値の正負によりカオス性の有無を判定
CE(Cerebral Exponent)の定義により音声信号のゆらぎの定量化が可能に
適正な処理条件で発話者の覚醒度に相関する指数値が計算可能に
「パラメータの適正な設定」が有意味な CEM値の算出に必要不可欠
5秒間の発話音声があれば信頼できるCEM値が計算可能
疲労の蓄積により音声の「ゆらぎ」が小さくなる
発話音声をカオス論的に分析し大脳新皮質の活性化状態を定量的に評価
発話音声をカオス論的に処理すると覚醒度に相関する指数値が得られる
発話音声の分析で居眠りを起こす可能性の上昇を検出
カオス論的発話音声分析装置:CENTE(センテ)
人間の脳資源は有限であることが発話音声分析からも確認
十分な頻度で繰返される短い発話音声から覚醒度の低下を検出
作業負担が大きくなった状況では,CEM値が小さくなる
CEM 値の変化とサーカディアンリズム(体内時計)の影響を確認